 | 八神マキノ・ファーストLIVEに関する情報分析レポート 八神マキノ |
 | 1.サマリー 本レポートは、現在活動中であるアイドルを観測した中で得られた 情報を分解・解析を行うことで、成功への道筋を示すものである。 |
 | まず、成功の定義とはなにか。 今回のLIVEにおいて、八神マキノはアイドルデビューとなる。 プロとして、興行的成功を収める必要は当然あるが………… |
 | 事務所 |
 | マキノ ……報告は以上。 初ライブに向けた調査は万全。一分のスキもないわ。 |
 | マキノ 報告書にあるように、客層の予想もできている。 ターゲットが明確だから、ニーズの分析も完璧よ。 あぁそれと、こちらにも目を通してちょうだい。 |
 | マキノ レッスン計画も私で立てておいたわ。 この通りにレッスンを進めていけば、何も問題ない。 つまりこれで、LIVEの成功は約束されたということよ。 |
 | 「…驚いた。こんなに行動が早いなんて」 |
 | マキノ 前に言ったはずよ。 借りは返す、ってね。 そして初めての仕事となれば、仮を返すには絶好の機会。 |
 | マキノ 私がこれまで想定外のことに巻き込まれたのは、 経験不足と情報不足が原因。 ただし、経験不足はすぐに解消できる問題ではないわ。 |
 | マキノ だからこそ、その経験を補えるだけの情報を集めていったのよ。 今の私には、不安も問題もない。 だからプロデューサーは、ほかの仕事をしていていいわ。 |
 | 「そうさせてもらうよ」 |
 | マキノ えぇ、それで構わないわ。 そして……LIVEでは見せてあげる。 貴方の想定を超えたパフォーマンスをね。 |
 | LIVE当日 |
 | スタッフ プロデューサーさん! 頼まれていたもの、用意しておきましたよ! でも、これ……本当にひとりで大丈夫ですか? |
 | 「大丈夫です」 |
 | スタッフ そうですか……。わかりました!なにかあったら、声かけてくださいね! |
 | マキノ さて、そろそろ時間ね。 行ってくるわ、プロデューサー。 |
 | 「期待している」 |
 | マキノ 問題ないわ。 準備は万全、不安要素などひとつもないもの。 貴方が抱いている私への期待、私はそれを上回ってみせるわ。 |
 | マキノ はじめまして、八神マキノです。 今日は私のデビューLIVEに来てくれて、ありがとう。 |
 | 観客 マキノちゃーん!カワイイよーっ!!! クールな目が最高! 俺も分析してー!! |
 | マキノ フフ、ありがとう。 計算し尽くされたステージで、必ず楽しませてみせるわ。 |
 | 観客 L・O・V・E!マ・キ・ノ!! |
 | マキノ ……?全員、同じ色のサインライトを振ってる……。 デビューLIVEなのに、こんなことが起こるなんて……? |
 | マキノ フフ……この、会場の一体感。 ……これが、LIVE……正直、想定外ね。 |
 | マキノ フフ……ならば、私がすることはひとつ。 想定外にはさらなる想定外を……。 期待以上のLIVEを見せてあげるわ! |
 | LIVE終了後 |
 | マキノ ふぅ……プロデューサーはどこかしら。 ……控え室にいると思ったけれど、いなかったか。 |
 | マキノ ……なかなか来ないわね。 LIVE直後だし、挨拶回りをしているのかしら。 |
 | スタッフ プロデューサーさん、今日はお疲れ様でした! いやー、大成功のLIVEでしたね! |
 | マキノ あそこにいるのは……プロデューサーとスタッフさん? |
 | スタッフ 八神さんのパフォーマンス自体もよかったですけど、 来てくれた観客を巻き込めたのも大きかったですよね! 会場の一体感、よかったなぁ〜! |
 | LIVE前 |
 | 「お願いしまーす!」 |
 | 客A なに、このビラ? えーと、「八神マキノ・ファーストLIVE」? ふーん。 |
 | 「事務所期待の新人アイドルです!」 |
 | 客B へぇー、確かにカワイイかも……。 このキリッとした表情もなかなか……。 |
 | 「応援するときは、これをどうぞ!」 |
 | 客C サインライト?へぇ、配ってるんだ。 もらっとくよ! |
 | スタッフ プロデューサーさんにあそこまでされたら、オレたちも頑張らないとってなりますよ! |
 | 「彼女の魅力を伝えるためです」 |
 | マキノ ………………。 |
 | マキノ プロデューサー……おかえりなさい。 今日はとてもいい、想定以上のLIVEができたわ。 けれど、この成功は、私だけの力では成し得なかった結果よ。 |
 | 「腕のいいスタッフがいてくれたからね」 |
 | ○○P 君の努力と、スタッフさんたちの努力が上手くかみ合ったから、 いいLIVEにできたんだよ。 |
 | マキノ ……なるほど?あくまで、私とスタッフさんたちの 成果だと言い張るつもりなのね、貴方は……。 |
 | マキノ どうやら、また借りを作ってしまったようね。 |
 | マキノ フフ……LIVEにも貴方に対しても、非論理的な感情が私の中に 芽生えつつあるわ。それがどんな感情で、私にどんな 影響をもたらすのか……私はそれを見極めていきたい。 |
 | マキノ それに、アイドルの世界は、想像以上に私の知的好奇心を 刺激してくれる場所だと判明したわ。 だから、これからもよろしく。……そして、覚悟をしておいて。 |
 | マキノ いつか貴方の全てを記録してみせるわ。 アイドルと、貴方という調査対象……フフ、実に興味深いわ。 |
 | (終了) |
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