マキノ …………。 先ほどから視線を感じるのだけど……何か? | |
「スカウトする」 | |
マキノ ……アイドルのスカウト?冗談を。 ……私でなければならない、その根拠は? | |
「根拠は……」 | |
マキノ 説明できないの? はぁ……それなのに、私にアイドルを要求するのは 理不尽というものでしょう。 | |
マキノ まるで必然性がない。論理性を欠いている。 演繹*1でもなく、帰納*2もない。 貴方が声をかけるのは私である必要がない。違う? | |
「そう?」 | |
マキノ はぁ……話にならないわ。 プロなら論理性を持ってスカウトするべきではないの? ……それとも、そう思わないから声をかけているのか。 | |
「興味はない?」 | |
マキノ 無いわ。このくだらないお喋りにも、 貴方の理論的必然性のない口説き文句にも。 他に何か? | |
「アイドルを知ってる?」 | |
マキノ 知っているわ。いえ、あぁ、そういうと語弊があるわね。 一般大衆レベルの知識として そういう職業がこの世に存在することは知っている、くらい。 | |
「つまりよく知らない?」 | |
マキノ まぁ、そう言い換えることもできるわね。 それがなに?世の中に知らないことなんていくらでもあるわ。 | |
「知りたくない?」 | |
マキノ なに、論理性では落とせないと思ったら別の手? あいにくと知的好奇心しか満たしたいものはないの。 でも、対応を変えたわね。貴方のその分析力はほめてあげるわ。 | |
マキノ それから? | |
(暗転) やりとりがしばらく続いた… | |
マキノ 貴方もなかなかに折れない人ね。それに、 手を変え品を変え、よくもそれだけ人を口説けるものだわ。 論理的かどうかなんて、どうでもいいじゃない。 | |
マキノ ……そうか。やられたわ。 つまり、私のこの反応も予想済み? | |
「頷く」 | |
マキノ 負けたわ。論理では図れないその行動力、 いや、情熱というべきか……。 | |
マキノ 分かったわ。 話だけは聞いてあげる。アイドルとやらのね。 ただ一つ教えて。私に声をかけた、本当の理由を。 | |
理由を伝えた | |
マキノ そんな理由で……? 全く、度し難いな……。*3 | |
(終了) |
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